【大石結花】帰国子女というマイノリティーの中で見つけた「自分」という強さ

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higuchiaki今急成長しているIT企業Pinterestで、
コミュニティーマネージャーを務める大石結花さんにインタビューさせていただきました!カナダで生まれ、幼少期をアメリカで過ごす中で気付いた自分の「強み」を見出す大切さ。そんな大石さんの素顔に迫ります!


—現在、どんなお仕事をされていますか?

Pinterestの日本オフィスでコミュニティーマネージャーをしています。シリコンバレー系の会社では、コミュニティーというのはユーザーのことを指すんですが、ユーザーとサービスがいい関係性で、グロースしていくようにする仕事をしています。

—なるほど。具体的にいうと、どんなことをされるんですか?

オンラインとオフラインでユーザーとのコミュニケーションを計るんですが、例えば、オフラインは分かりやすくて、イベントを企画したり。オンラインは、季節ごとにキャンペーンを打ったりするんです。

—ほお〜。日本の会社で例えると、広報みたいなお仕事ですか?

そうですね。でも、今日本オフィスには3人しかいないので、「私の仕事はこれだけです」っていう制限はなくて、基本的に何でもやっています(笑)

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—どうしてPinterestでのキャリアを選んだんですか?

前は、DeNAに務めていたのですが、たまたまお話をいただいて、実際にPinterestを使ってみたら、一瞬で好きになってしまいました。Pinterestって他のSNSと違って、ユーザーの利用時のモチベーションが違うんです。

—モチベーションですか?

はい。FacebookやInstagramのように、過去にあったことをお友達に伝えるんではなく、やりたいことがあって、それに向けて情報収集したり、イメージをふくらませるために使うんです。

例えば、引っ越しをしたから新しいソファを買いたいと思っていたら、いいと思った写真を集めて、自分の買いたいソファのイメージを膨らますことができますよね。Pinterestは、未来のためのプランニングツールなんです。

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—へえ〜!なんだかワクワクしますね!

そうなんですよ。日本での展開はまだ先になりますが、今年から米国で始まっている広告ビジネスの観点でいうと、ユーザーは、そういうマインドセットで使っているので、広告が入っても、違和感を感じないんです。

例えば、ソファを探していたら、ソファの広告が入っても、そんなに嫌じゃないですよね。むしろ、広告として入ってきた情報が役立つ場合もあるかもしれません。でも、他のSNSで、友達の近況を見てる時に、ソファの広告入ってきたら、嫌じゃないですか?(笑)

—確かに(笑)素敵な見た目の裏側はすごい仕組みになっているんですね。

そうなんですよ。見た目だけでなく、持っているデータ量がすごいんですよ。今、グローバルで300億ピン以上あって、日々増え続けています。

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—学生時代から、IT×ファッションをテーマにブログを書かれていると思いますが、どうしてブログを始めようと思ったんですか?

ファッションもITも、もともと両方好きで、ある時、アメリカのファッションブロガーの女の子をネット上で見つけ、その子のブログを始めた当初の記事に遡ってみたんです。正直、たいしたことなかったんです(笑)こんなすごい人でもこんな時代があったんだと知り、勇気が出ました。

それと同時に「まずは始めないと、ここまで来れないんだ」ということに気付き、私もブログを始めることにしました。ただ、ブログを書いている人はもういっぱいいたので、どう差別化しようか考えていた時に、よりニッチになるように、アプリの紹介や3Dプリンタで作った服を紹介したりと、ファッション×ITをテーマにしました。

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—ブログで発信する際に、大事にしていることは何ですか?

クオリティーの高いものをコンスタントに発信することですね。クオリティーを高くすることと、頻度を高くすること、両方を担保するのは難しいのですが、両者が交わるポイントを見つけて、継続しながら、両方のバーを上げて行きたいです。

—大石さんにとって、ITとはどのような存在ですか?

今までできなかったことを、できるようにする突破口だと思っています。突破口なんだけど、それをどう取り入れるかは自分次第で、使う人の取り入れ方によって全然違うライフスタイルになると思います。

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—大石さんの一番の原動力は、何でしょう?

私、世界を変えたいとか全然思ってないんです(笑)自分な好きなことと得意なことで何かしらの価値を発揮できた時ですかね。

—大石さんの一番のターニングポイントはいつですか?

0〜3歳までカナダで過ごし、小2〜中2までアメリカで育ちました。中2で日本に帰国し、愛知県の公立の中学校に入ったのですが、最初は、やばかったですね(笑)

—どういう意味でですか?(笑)

自分って何なんだろうって思いました(笑)日本人なのに、日本人のこと理解できなくて、悩みましたね。他のクラスから「アメリカから来たらしい」という噂を聞きつけて、みんな見に来たり。あと、中2前後の女子ってめんどくさいじゃないですか(笑)仲良しグループがあったりして。近くに、インターナショナルスクールがあったので、そっちに行こうか迷ったんですが、もしここで行ったら、一生日本社会に溶け込めないと思ったため、踏ん張ることにしました。

最初は、学校にいても所属感がなかったのですが、もともと目立つのが好きな子供だったので、クラスのリーダーをしたり、自分の素を出すようになり、少しずつ慣れていきました。おかげで、今では日本でもアメリカでも生活できるようになったので、踏ん張った甲斐がありました(笑)

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—今の大石さんに、大きく影響を与えている経験はありますか?

昔、アメリカのケンタッキー州に住んでたんですが、すっごい田舎だったんですね。毎週土曜日に日本語の補習校があったんですが、週1しか会えないので、みんなとコミュニケーションをもっととりたいと思い、中1の時、自分でホームページを作ったんです。田舎で誰も教えてくれないので、自分で調べて、掲示板、チャットルーム、お絵描き掲示板などの機能がついたホームページを作りました。

できあがると、クラスの中であっという間に普及して、すぐにみんなの生活の一部になりました。その時、こういうものがあると、こういうコミュニケーションが生まれるんだということを知りました。

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—大石さんのアイデンティティーを形成する要素は何ですか?

異質であることですかね。アメリカ・ケンタッキーにいた時、めちゃくちゃ田舎で、学校では、私と妹しかいなかったアジア人がいませんでした。

白人社会の中にアジア人が現れたので、「お父さんは侍か」と聞かれたこともありました。また、日本に帰国すると「アメリカ育ち」だと言われ、自分のことがよく分からなくなることがありましたが、いつもどこにいても感じた疎外感が自分のアイデンティティー作っているんだと思います。

溶け込もうとせず、大勢の中でどうやったら違いを生み出せるか、自分の強みを生かせるかということを常に考える習慣が身に付いたと思います。

—今後の夢を、ぜひとも教えてください!

私、今年、入籍したのですが、彼はTwitter本社でエンジニアをしているので、今はサンフランシスコと東京で離れて暮らしています。運良く、私もサンフランシスコにあるPinterest本社に移ることが決まったので、来年4月からサンフランシスコで一緒に暮らし始めることになりました。

昔から、サンフランシスコに住むことが夢だったので、一つ夢が叶いました!夫婦共々自由人なので、これからも、お互い何か好きな仕事をしたり、好きなものを作ったりして、ワクワクしながら幸せに暮らしたいです!

231-2-6612<大石結花/Yuka Ohishi>
1988年、カナダ生まれ。幼少期をアメリカで過ごす。国際基督教大学教養学部卒。ファッションとITが好きで、自身のブログ、blossomlink.me で日英で発信する。現在はPinterest Japan のコミュニティマネージャーを務める。2015年からサンフランシスコを拠点に活動予定。

photo by 吁九志

1989年生まれ。北京大学国際関係学部卒業。株式会社Selan代表。インタビューサイト "belong" を運営。