【細渕敬史】世界に通用する役者にーどうせ、失う物なんてない

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細渕敬史/Takafumi Hosobuchi

higuchiaki俳優として数々の作品に出演されている、今注目の細渕敬史さんを取材させていただきました!


—役者を目指したきっかけは何ですか?

ブラッド・ピッド主演の「ザ・メキシカン」という映画を見て、純粋に「かっこいい」と思ったからです。プラビがスペイン語を話すんですが、それにインスパイアされ、メキシコに行きました。

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—メキシコでは、どんなことをされてたんですか?

町の掃除や孤児院で働いたりしました。一番印象に残っているのは、ウミガメの保護です。

—へぇ〜!ウミガメの保護。具体的にどんなことをするんですか?

はい。これが結構ハードなんです。ウミガメって、夜中に産卵するんですが、まずは、亀を探して、朝方まで、産卵が終わるのを待って、卵を砂に埋めるんです。また、埋めていた卵がふ化した時、ウミガメの赤ちゃんは海に戻るんですが、砂浜から海に行く間に、鳥や小動物に食べられちゃうことがあるんです。なので、食べられないよう、バケツに入れて、僕たちの手で海に戻すんです。

—面白そうですね!

はい。また、宿舎がスラム街のすぐ近くにあったのですが、当時の僕にとっては、ハイアットに泊まっている人より、きったないTシャツ来て、昼間からビール飲んでいるスラム街の人達の方が、輝いて見えました。

—具体的に、どのへんが輝いて見えたんですか?

必死になってもがいているところが、当時の自分にとっては、すごく分かりやすかったんだと思います。なんだか、人生が楽しそうに見えましたね。

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—休日は、どんなことされてるんですか?

大学1年生の時から、ずっとサーフィンをしてます。最近は、あまり行かなくなってしまったんですが、今でも海は大好きです。精神的に解放されるんですよね。あとは、サーファーって、色んな種類の人がいるので、自分が経験した事ない面白い話を聞いて、たくさんのインスピレーションを得られました。

—大学時代は、サーフィン一本だったんですね。

はい。あまりにもサーフィンに没頭していたので、しまいには、友達から「どうせ、週末はサーフィンでしょ?」って言われてました(笑)合コンもほとんど行きませんでしたね(笑)確かに、もっと色んな事に挑戦できたかもしれないけど、自分で時間とお金の使うところをちゃんと決めていたので、全く後悔していないです。

 

—波に乗るのって、どんな感覚なんですか?

うまく言い表せないんですが、太平洋の向こう側から来た波が日本まで届いて、その波に乗る感覚は…う〜ん。やっぱり言葉では表現できない感覚です(笑)一度波に乗れるようになると、どんどん欲が生まれてくるんですよ。「もっと上手くなりたい」って。

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—小さい頃から、役者さんを目指していたんですか?

いえ、小中高は、ずっと野球をしていました。小学2年生の時見に行った、甲子園の試合に大きな衝撃を受け、そこから、野球漬けの毎日でした。甲子園目指して、深夜までバット振ったり、走ったり。ライバル校の選手は、きっと今もまだ練習してると思うと、練習せずにはいられませんでしたね。

—努力家なんですね。

人からはよく、真面目だねって言われるけど、自分ではそうだとは思いませんね。何か一つ目標が決まると、人には理解されないくらい集中しちゃうんです。自分の目標に向かって走っている時、邪念は持ちたくないんですよ。それは、子供の頃から変わってないですね。

—どんな役者さんになりたいですか?

芝居ってその人の個性であり、生き様だと思うんです。役者である前に、一人の人間として、「人格のある人間でありたい」ということを常に意識して生きています。

takafumihosobuchi3 —人は、なかなか「一歩踏み出す勇気」が出ないことがあると思うんです。何が細渕さんを後押ししているんですか?

「どうせ俺なんて、失う物はない」という想いです。若者が失うものなんてそんなないと思います。しかも、日本という国で生きている以上、若者がそんな生活に困る事はないと思います。少なくとも、僕がメキシコで見たスラムの人たちみたいにはならない。死ぬ気でやっても死なないですから。

—お仕事を通して、細渕さんの考え方に何か変化はありましたか?

作品の裏には、見えない人たちが動いてくれているということを、改めて実感しました。自分は、前に出ているけど、本当に色んな人に支えられている。陰で支えてくれている人達が、実は一番かっこいいんじゃないかと思います。

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—細渕さんの、アイデンティティーを形成する要素は、なんだと思いますか?

「困難」ですね。困難があるたびに、悩んで、苦労して、もがきます。
でも、それがないと、人間として成長しないと思うんです。困難にぶちあたれば、人間何かしら行動を起こすので。もがき続けていたら、気付くと、どこかにたどり着いていると思うんです。

—今後の野望を、ぜひとも教えてください!

世界のフィルムに通用するような役者になります。

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<細渕敬史/Takafumi Hosobuchi>
1988年6月5日生まれ。千葉県出身。俳優。出演作に、ドラマ『ダブルフェイス~潜入捜査篇~』(TBS/12)、ネスレシアター「五秒後の男」(監督:入江悠/14)、東映「イン・ザ・ヒーロー」(監督:武正晴/14)がある。
ブログ: http://ameblo.jp/takafumi020605/

 

  photo by 吁九志

1989年生まれ。北京大学国際関係学部卒業。株式会社Selan代表。インタビューサイト "belong" を運営。