【駒崎クララ】フランスから日本へ航海、CA、起業…「客室乗務員のセカンドキャリアを支援」

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 <駒崎クララ/Kulara Komazaki>

 higuchiaki今回は、CAとしてアシアナ航空に7年半勤務された後、起業し、客室乗務員のセカンドキャリア支援事業を行っていらっしゃる、株式会社KoLabo代表取締役社長 駒崎クララさんを取材させていただきました!


 —幼少期は、どんなお子さんだったんですか?

小さい頃、両親と一緒に船に乗って航海をしながら暮らしていました。船といっても、32フィートの小さなヨットです。フランスを出発して日本まで、約5年の時間をかけて航海しました。

航海に出るまでは、四角四面な考え方の子どもだったと思いますが、航海に出てたくさんの出会いがあったことで、物事を柔軟に捉えることができるようになったと思います。

—ご家族で5年間も航海なんて、貴重な経験ですね!海の生活って、ちょっと想像が難しいです。どんな環境だったんですか?

船の上では、父と子であると同時に、キャプテンとクルーの関係でもありました。父に対して、「対等に発言できる自分」と、状況に応じて「父の指示に従う自分」というメリハリがあったことで、幼少期から自分の役割というのを自然と考えさせてもらえる環境だったと思います。

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—どんな役割があったんですか?

例えば、嵐の時は、私は「寝る」ことがミッションでした。当時、私はまだ体が小さかったので、嵐になると海に落ちてしまう危険性があったため、両親を手伝う方がリスクだと教えられていました。ですので、嵐の時はいち早く避難し、自分の身は自分で守っていました。

—日本に帰国して、生活スタイルが一気に変わったと思うのですが、どうでしたか?

小学校4年生の時に日本に戻って、初めて小学校に入学したのですが、色々なことに「ルール」があるのが、いい意味で「面白い」と思いました。

—例えば、どんなことですか?

例えば、船の中ではずっと両親に勉強を教わっていたのですが、寝そべって勉強していたので、学年誌等で目にする日本の子供達がみんな揃って机で勉強している姿に憧れていました。ですので、日本へ帰国し、みんなと同じように、やってみるのは、私にとって、とても新鮮で刺激的でした。

—セカンドキャリア支援を始めようと思ったきっかけはなんでしょうか?

弊社ではCA経験者専用の情報共有サイト、「CREW WORLD」を運営しているのですが、ユーザーの方々にヒアリングしていたところ、「転職支援もしてほしい」というお声を度々いただきました。

CAの場合、CAになりたくてなった人がほとんどなので、「他の仕事をする自分」を想像するのは難しいことが多く、キャリアに悩んでいる方々をたくさん目の当たりにしてきました。厳しい試験を潜り抜けて来た方ばかりですので、「能力があり、社会に貢献できる人材」をもっと知ってもらいたい、そしてキャリアに悩む方々のキャリアチェンジをサポートしたい、そんな想いが、CAのセカンドキャリア支援を始めるきっかけになりました。

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—駒崎さんのご経験が生きていますね!

自分が客室乗務員時代に体験したことや、感じていたことがあるからこそ、目の前のお客様の気持ちが非常によく分かりますし、私自身、お客様と一緒にもがきながら、走っていますお客様に頼ってもらえることが、私のモチベーションに繋がっています。

—起業をして得た、一番大きなものはなんですか?

志を共にする仲間です。それまでも、想いに共感・支援してくださる方はいたのですが、今は理念に共感し、同じ目標に向かって突き進む仲間がいます。これは、起業して得た一番大きな喜びです。

—起業する上で、大変だったことや難しかったことはありますか?

大学を卒業してから、ずっとCAとして働いてきたため、私にとって「起業」は本当に未知の世界でした。「やり方がわからない」「周りの方々に失礼なことをしてしまっているのではないか」そんなふうに思い、戸惑うことも多々ありました。しかし、幸いにも優しい先輩や仲間に出会い、色々なことを教わる中で、「自分は一人じゃない」と感じました。周りの方々の応援が、大きな原動力になっています。

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—駒崎さんが描く未来とは、どんな未来ですか?

「国境がない世界」です。「CREW WORLD」のFacebookページでも、空の写真をよくあげているのですが、空のように境目がない世界を目指しています。本来、人はそれぞれ違っていて当たり前で、国も違えば、性別・年齢・言葉等、多種多様です。その人の持つバックグラウンドや肩書きで評価されるべきではないと思うんです。

幼少期に航海している時、各国の港では色々な国の人が交流していて、「どこの国から来た、○○さん」という接し方はせず、みんな「私とあなた」という対等なコミュニケーションをとっていました。今後、そんな世界を実現できたらな、思っています。

—駒崎さんの、アイデンティティーを形成する要素は、なんだと思いますか?

家族です。今の私があるのは、幼少期に「航海」という冒険があったからだと思っています。「航海に行こう」と思った父と、「一緒に行く」と言った母がいたおかげです。

—最近、「自分は何がしたいのか分からない」という若者が多いという記事をよく見かけますが、クララさんは、どうやって見つけましたか?

私の両親は、昔から固定概念を持たないタイプでした。例えば、「小学校に行かなくてはならない」という考え方がなく、「あなたが行きたいなら行きなさい」と言われました。私は自ら行きたいということを両親に伝え、小学校4年生の時に、初めて小学校に入学しました。

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—柔軟な考えのご両親ですね!

はい。ですので、小さい頃から常に自分で人生の選択肢を考え、選択してきました。自分の道を自分で考えさせてもらえる環境で育ったことは、とても良かったと思っています。

また、小さい頃から自分の将来のことを考えるのが好きでした。私は120歳まで生きたいと思っているのですが、大まかな目標はもう決めているんです。でも、その通りにならなきゃいけないというわけでなく、随時状況を見ながら、思い切った方向転換もありだと思っています。

—自分の強みを生かすためには、どうすればいいと思いますか?

自分の強みが何か知ると同時に、人の強みが何かを知ることだと思います。皆が皆、同じ価値観ではないという前提で話をすると、自分の人と違う部分が見えてくると思います。それが、自分の「独特な考え」だと思うんです。みんなそれぞれ長所があるので、自分の強みって何だろうと意識して考えていると、きっと出てくると思います。

—今後のビジョンを是非とも教えてほしいです!

ヨットでの航海の経験、CA時代や起業後に、色々な人と働かせていただいた経験は、私の人生の宝物です。多様な価値観に触れて得たことを生かして、女性がいきいきと働ける環境作りのお手伝いをしたいと思っています。

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駒崎クララ/Kulara Komazaki>
株式会社KoLabo代表取締役社長。神田外語大学外国語学部卒業後、アシアナ航空へ入社。客室乗務員として約7年半、日韓線及び長距離路線に乗務。7年半の間に二度の優秀乗務員賞を受賞する。
2012年、「航空会社の垣根を越えた、CAの情報交換やコミュニケーションの場を作りたい」という想いから、客室乗務員経験者専用情報共有サイト『CREW WORLD』の運営をスタートさせ、株式会社KoLabo設立。現在は、『CREW WORLD』の運営に加えて、客室乗務員経験者のセカンドキャリアを支援する人材紹介サービ『KoLabo Crew Concierge』を運営。マスタービジネスコーチ。 

  photo by 吁九志

1989年生まれ。北京大学国際関係学部卒業。株式会社Selan代表。インタビューサイト "belong" を運営。