【新條隼人】another life. 取材総数600人! 生き方の根幹に価値提供を。

新條隼人

樋口亜希今回は、another life.(アナザーライフ)を運営する株式会社ドットライフの新條隼人さんをインタビューさせていただきました!「やりたいことをやる人生を、当たり前に」というミッションのもと、事業を展開されている新條さん。情熱的な部分、ドライな部分、柔らかい部分… 様々な角度から新條さんにお話をお伺いしました! 


 

やりたいことをやる人生を、あたりまえに

  

—アナザーライフのことを、少し教えていただけますか?

まず、会社のミッションとしては「やりたいことをやる人生を、あたりまえに」というのを掲げています。それを実現する手段として、another life.(アナザーライフ)というwebサービスがあって、「一日だけ、他の誰かの人生を」というコンセプトなんです。色々な人生の選択肢に触れて、より多くの人が自分の価値観で生きることを目的としています。

—今まで、全部で何人くらいにインタビューされましたか?

600人くらいですね。

—600人!

毎日人に会ってますね。

新條隼人

 

—アナザーライフを始めたきっかけは?

まず、小さい頃から起業には関心がありました。ごく一般的な家庭で育ち、父は和裁職人、母親は外資系のサラリーマンでした。大学生になるまで、自分一代でどこまで社会にインパクトを与えられるか、どういう目的だったら人生をかけられるかということを常に考えていました。

そして、人がどう生きるかの根幹に価値提供するというビジョンが大学時代に形成されたのですが、自分がそれを成し遂げるイメージが湧かず、ベンチャーに就職をしました。その後、仕事もどんどん任されるようになって楽しかったのですが、「これとこれができるようになったから、独立して成功できる」と言える日は一生来ないと感じたので、1年半経った時に、起業をすることにしました。

その間、僕の昔からの仲間たちがどんどん活気が無くなっていくのを感じていました。久しぶりに会っても、会社の悪口ばかりだし…。今はいいけど、「これから10年、20年このまま続けていったら、一緒にいられないかもしれない」とふと危機感を抱いたんです。と同時に、自分が一番大切な仲間の抱えている課題に向き合ってこなかったことに、後ろめたさを感じました。この課題感からサービス作りを始めました。

 

—なるほど!じゃあ、きっかけは「昔から起業に興味があったこと」「周りの友達の生き方に危機感・やりきれなさを感じたこと」この2つなんですね!

そうですね。僕かなりドライなんですけどね。あんま人に強い興味関心を持たないというか(笑)でもこの時は、このままではまずいなと感じたんです。自分の周りだけが悩んでいるのではなく、多くの人が抱える普遍的な課題だという感覚もありました。

新條隼人

 

究極、人は他人を変えることはできない

  

—人に興味ないのに、こんなたくさんインタビューしているって面白いですね(笑)

確かにそうかもしれないですね(笑)あ、すいません、ちょっとディープな話をしてもいいですか?(笑)

—もちろん!(笑)

以前、病んでいる友人の相談を受けていたことがあるんです。自殺の方法も聞かれ、時には、数十件着信があることもありました。相談にのったり、駆けつけて止めることは、対処療法にはなったものの、根本解決にはならなりませんでした。その時、「人は他人を変えることはできないのではないか」という結論に至りました。もちろん、その人自身が変われば、変えられる。逆に言うと「その人しか自分を変えられない」そう思ったんです。その経験が、僕が人に対する期待、関心が薄まった原因かもしれません。

新條隼人

 

インタビュイーと読者を繋ぐために

 

—インタビューをする上で、心がけていることは何かありますか?

「視点を2つ持つこと」ですね。1つの視点は、インタビュイーとなるべく同じ視点に立つことです。「なんでその人はそうしたんだろう」「何が動機だったんだろう」という視点です。もう一方は、視点をぐっと引き離して、客観視する視点です。インタビュイーと読者を繋ぐためには、この2つの視点が重要だと思っています。

 

—インタビューサイトを運営する上で、大変なことはありますか?

ん〜なんでしょうね(笑)逆に樋口さんは何かありますか?

—私、細かい作業が苦手なんです…。日程調整とか、誰かやってほしい(笑)

なるほど(笑)あ、僕の座右の銘紹介させてください!“There is nothing either good or bad, but thinking makes it so”というシェイクスピアの言葉なんですが、「物には前も悪も無い、考え方次第で善にでも悪にでもなる」という意味で、これができれば最強だなと思っています。ただ、強いて挙げるとすれば、毎週地方に行っていて、0泊2日で、夜行バスで移動するんですが、そのバスの中は孤独で辛い(笑)

—0泊2日!それは辛いですね。夜行バスの中でも、ちゃんと眠れますか?

めちゃ不快ですよ!(笑)アイマスクも耳栓もしているんですが、バスが止まったり動いたりしているから、やっぱり完全には休まらないですね。

新條隼人

 

結局、結果しか残らない世の中

 

—新條さんにとって、ターニングポイントはいつですか?

ターニングポイントは、高校・大学の受験と母校(高校)の進路講演会ですね。まず、高校受験に関してですが、僕、中学の時「遊んでいるけど勉強ができる人」がかっこいいと思っていたんですね。試験前によくいる「俺全然勉強してないわ〜」っていうやつです(笑)

 

—あ、そういう人いたいた!(笑)

それ僕です(笑)高校は、都立日比谷高校にどうしても行きたかったんですが、色々と調子に乗っていたので、学力的に届かず、志望校を下げて違う公立高校に入学したんです。この経験は僕にとって、とても悔しい経験でした。自分に幻滅しましたし、情けないと思いました。その時、いくらプロセスがよくても、結局結果が全てだと思い知りました。この経験を踏まえ、高校生からは、コツコツ型&努力カバー型に転換しました。その結果、大学は、なんとか第一志望だった一橋大学に入学することができました。

 

—インタビューを始めてみて得た、一番大きなものはなんですか?

アナザーライフは、読者の方に直接メッセージを送れる機能を付けているのですが、コメントには毎回感動してしまいますね。少なからず、人の人生を変えているんだなと思え、誇りと責任を感じます。

新條隼人

 

関わった人が「自分のことを好きになる」インフラを

 

—あの仕組み、素敵だと思います!新條さんにとって、アナザーライフとはどのような存在ですか?

これ難しい質問ですね(笑)変遷してきているけども、2つあると思います。1つは、アナザーライフは、「やりたいことをやる人生を、あたりまえに」というミッション達成の手段でしかないと思っています。一方で、2つめとしては、アナザーライフで人生が変わっている人がいるので、すでに自分のものじゃない感があります。関わった人が「自分のことを好きになる」インフラとして、成長していってほしいと思っています。

 

—1番の原動力は、何でしょう?

利己と利他が一致して、心地良いと感じること、でしょうか。僕、人間って皆、利己から始まると思っています。僕も、自分のビジョンに酔っているところがありますね(笑)エゴを満たすことで、満足している部分は、否定できないです。でもそれが、利他と一致したとき、大きな原動力になっていると思います。

 

—ちなみに、新條さんの人間関係は「広く浅く」「狭く深く」でいうと、どちらすか?

すごーく狭くて、浅い!(笑) 

—あはははは!意外です(笑)

僕、基本、自分を開示しないんですよ。親も僕が何しているのか知らないと思います。独立を機に、前よりも色々話すようになりましたけど。

 

—現在の新條さんに大きく影響している、過去のご経験、出来事はありますか?

親の教育思想はとても影響していると思います。「自分の人生は自分で切り拓きなさい」と言われていました。「家業を継ぐな」と言われていたのも大きいかもしれません。なので、逆に「こういう生き方がいいよ」という押し付けのメッセージは、ちょっと嫌なんです。

新條隼人

 

多くの人の生きた証を

 

—新條さんの、アイデンティティーを形成する要素は、なんだと思いますか?

「期待感」かな。僕、自分にすごい期待しているんですよ。小さい頃から(笑)「おれ、いい感じだよな!」的な。

—素晴らしい!!(笑)

小さい頃から、常に「俺、どんな大人になるか楽しみだなぁ〜」と思っている人間なんです。今も、引き続きそういう人間です(笑)自分の人生グラフは右上で終わる気しかしないですね(笑)

 

—最高です(笑)この1年はどんなことに挑戦していきたいですか?

アナザーライフを開始して1年半くらいですが、とても多くの人が見てくれるようになりました。ここから、質を下げずに、より多くの人にアプローチできるようになりたいですね。この1年でよりパブリックになりたい。

 

—パブリックというと、具体的にどんなイメージですか?

多くの方の生きた証を残したいです。人がどう生きたかの証は、歴史に名前を残せた人のものしか残っていないんですよね。例えば、Wikipediaがインフラになったのはここ10年の話なんです。1年目は12記事しかなかったんですよ。Wikipedianという熱狂的なボランティアがコンテンツをすごいスピードで増やしていき、寄付も年間で50億円くらい集まっているんですよ。多くの人の「社会のためにWikipediaはあるべきだ」という想いと共に、ここまで成長してきたのは、本当にすごいことだと思います。

 

—アナザーライフは、カテゴライズもされていて、見やすいですよね!

年齢、職業のカテゴリだけでなく、「価値観」のカテゴリ分けもしていこうと思ってます。図書館の本棚のようなイメージですね。

—図書館の本棚!夢がありますね!新條さんの目指す世界はどんな世界ですか?

自分がやっていること、選択に対して、全員が納得感を持てる世界です。自分が納得のいく時間がより増えている世界ってヤバくないですか? それを目指します。

新條隼人

—ちなみに、ちょっと気になってたんですが、新條さん、ご出身はどちらですか?

東京です。

—え、うそ!?少し方言っぽい話し方だったので…(笑)

よく言われるんですよ(笑)でも、これ、自分なりの解釈があって。

—気になります!(笑)

新卒でベンチャー入って、すごくフラットな環境だったので、新入社員が先輩に食い込んでいくことも結構あったんです。でも、「何でですか?」って標準語で普通に聞くと、ちょっと棘があるじゃないですか。でも、「何でですか?」(ちょっとなまった感じで)言うと、ちょっと柔らかくないですか?(笑)

—確かにそうですね。じゃあ、社会人になってから、なまり始めたんですか?

そうですね。「環境に合わせて進化していったのではないか」という僕なりの仮設です(笑)

新條隼人

<新條隼人/Hayato Shinjo>
株式会社ドットライフFounder

一橋大学卒業後、株式会社ネットプロテクションズ入社。後払い決済事業の営業グループリーダー、新卒採用担当等を経てドットライフを立ち上げ。「人の生き方の根幹に価値提供する」ことを軸に事業を創造。

1989年生まれ。北京大学国際関係学部卒業。株式会社Selan代表。インタビューサイト "belong" を運営。